「尊厳の保持」「利用者本位」「自立支援」などの言葉は大変重要なキーワードで、試験問題のどこかには、必ず出てきます(これらを肯定的に捉えているものは、必ず○ですので、むしろ正解しやすいと言えます)。
従来の高齢者・障害者の支援では、「訓練や援助により自立を実現する」という専門職主導の自立が中心でしたが、現代では、支援を必要とする人が単に弱者として援助を受けるのではなく、自分の意思・自己責任に基づいてサービスの利用等を決定し、自ら生活を営んでいくという「自立・自立支援」という考え方が重要なポイントとなっています。
ここでは、その「自立」の意味と「自律」との関係をしっかりと覚えましょう。
自立
自己決定・自己責任に基づき、生活を営んでいくこと。経済的自立、身体的自立、精神的自立などがある。また、「自律」を前提として「自立」が成立する。
自律
自立の前提となるもので、自分ので決めた規則によって自分を律する(制御する)こと。
自立支援
生活に支障のある人が自分の意思に基づいて活動することを支援すること。介護従事者側が優位に主導する考え方はNG。
このような「自立」の考え方は、1960年代後半にアメリカで始まり、その後1970年代にノーマライゼーション思想などとともにアメリカ全土から世界中に広まった「自立生活運動(IL運動)」によって生まれました。
当時の障害者には医学モデルに基づいた「経済的・身体的自立」が重視されていましたが、重度の障害を持っていても、障害者自身が(自己責任も伴った)自己決定に基づいて主体的に生活を送ることを「自立」として尊重するようになりました。
また、「自立」と「自律」のように、同じような言葉で少し意味の違う語句は、試験問題にし易いこともあって、大変よく出題されます。
このような語句はこれからたくさん出てきますが、この講座でも指摘していきますので、できるだけ覚えておきましょう。